【追記】2019年12月16日
12月5日から始まっているフランス国鉄やパリの公共交通のストライキですが、下記の状況はそれほど変わらず、ストライキは続いています。12月16日月曜の内容を追記しています。
(以下は5日現在の状況です)
2019年12月5日、クリスマスで盛り上がっているはずのフランスが重苦しい雰囲気に包まれています。それはフランス全土で行われているストライキの影響。
フランス国鉄をはじめとする公共交通機関だけでなく、郵便局や警察、消防など公共部門を中心に大規模なストになっており、しかも労働組合などは「無期限スト」を訴えていて、長期化の恐れもあります。
日本ではなかなか考えられないストがフランスでは起きますが、今回は具体的にどんな影響があるのか、発表されている公共交通機関の運行状況をお伝えしていきます。
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12月16日現在|フランスの大規模ストでパリの状況を確認!
フランスでは年金制度改革への批判で、フランス国鉄やパリ交通営団などの鉄道各社でストライキが行われています。12月5日から始まったストは16日現在で12日目。ほとんど状況は変わっていません。
フランス国鉄のストなので全国的に影響がありますが、ここではパリ周辺のストライキの状況を見ていきましょう。
パリメトロRATP 12月16日月曜日の運転状況
1号線 通常通りの運行(無人運転)
2号線 終日運休
3号線 朝夕の通勤時間に限り5本に1本の割合で運行
(ただしHavres-Caumartin〜Pont Levalloinsの間のみ)
4号線 朝夕の通勤時間に限り3本に1本の割合で運行
5号線 終日運休
6号線 終日運休
7号線 朝夕の通勤時間に限り3本に1本の割合で運行
8号線 朝夕の通勤時間に限り3本に1本の割合で運行
(ただしCréteil Pointe du Lac 〜 Reuilly-Diderotの間のみ)
9号線 朝夕の通勤時間に限り3本に1本の割合で運行
(路線の両端の一部のみ)
10号線 終日運休
11号線 朝の通勤時間に限り4本に1本の割合で運行
12号線 終日運休
13号線 終日運休
14号線 通常通りの運行(無人運転)
パリ市内のバス 12月16日の運転状況
パリ市内のバスはおおむね50%の運行状況(路線によります)
<空港路線>
Roissy bus (オペラ〜シャルル・ド・ゴール空港)通常運行
Orly bus(ダンフェール・ロシュロー〜オルリー空港)通常運行
パリRER 12月16日の運転状況
A線
朝夕の通勤時間・Cergy ・Poissyからの電車に限り2本に1本の割合で運行
B線
3本に1本の割合で運行(パリ北駅で乗り換えの必要あり)
C線
1時間に数本の割合ですが、時間帯、行き先により異なります。パリからベルサイユへ向かう電車は運休。
12月5日大規模ストで交通機関の運休・運行状況は?
もっとも影響があるのが、鉄道を中心にした公共交通です。
パリの地下鉄から見ていきましょう。
パリメトロ(RATP)
1号線 通常運転(ただしダイヤ乱れの可能性あり)
2号線 運休
3号線 運休
4号線 朝夕の通勤時間に限り4本に1本の割合で運行
5号線 運休
6号線 運休
7号線 朝夕の通勤時間に限り4本に1本の割合で運行
8号線 運休
9号線 朝夕の通勤時間に限り4本に1本の割合で運行
10号線 運休
11号線 運休
12号線 運休
13号線 運休
14号線 通常運転(ただしダイヤ乱れの可能性あり)
パリ市内のバス
おおむね3本に1本の割合で運行
パリ郊外鉄道(RER)
A線 Nanterre Préfecture < Cergy-le-Haut/Poissy
は1時間に3本程度運行
Nanterre Préfecture/Saint-Germain-en-Laye< Boissy-Saint-Léger/Marne-La-Vallée
は1時間に5本程度運行
パリ市内を走るRER-A線はおおむね1時間に5本程度が確保される見通しです。
B線 パリ北駅~シャルル・ド・ゴール空港・Mitry-Claye
1時間に1本程度運行
パリ北駅から南方面
1時間に5本程度運行
シャルル・ド・ゴール空港へ向かう便は1時間に1本程度と非常に少なくなるので注意が必要です。また通常はパリ市内から空港まで直通ですが、ストライキ中はパリ北駅で空港行きに乗り換える必要があります。
C線 通勤時間帯で1時間に2本程度の運行
D線 通勤時間帯で1時間に4本または2本程度の運行
E線 通勤時間帯で1時間に2本程度の運行
フランス国鉄(SNCF)
TGV
パリ東駅発 6本に1本の割合で運行
パリ・モンパルナス駅発 10本に1本の割合で運行
パリ北駅発 6本に1本の割合で運行
パリ・リヨン駅発 10本に1本の割合で運行
TER
5本に1本の割合で運行
INTERCITE
10本に1本の割合で運行
ユーロスター(パリ・ロンドン) 2本に1本の割合で運行
タリス(パリ・ブリュッセルなど)3本に2本の割合で運行
リリア(パリ・スイスなど)1日1本のみ運行
エールフランス
●長距離国際便は通常通り運行
●国際中距離便は約85%の運行
●国内便は約70%の運行
12月5日のストライキの理由は?どうしてストをするの?
フランス全土を巻き込んだストライキの大きな理由は、マクロン政権が打ち出している「年金改革」に対する公共部門の人々の危機感です。
マクロン大統領は2017年の大統領選挙の公約に、年金制度の一本化を掲げていました。いままで職業ごとに42と細かく分かれている年金制度を、被保険者間で平等になるように年金制度をひとつにしよう、という改革です。
具体的な内容はマクロン氏が大統領に就任したすぐあとから協議を進めていますが、従来の仕組みで手厚い年金制度を享受してきた公務員などは制度改革に手をつけること自体が「けしからん!」ということで真っ向から対立してきました。
いますでにフランスの年金財政は2018年時点で、日本円で約3500億円というかなりの赤字状態。改革にはこの一本化という柱とともに、年金受給額の計算方法を変えたり、受給年齢を現在の基準年齢62歳(公務員、とりわけ鉄道の運転士などでは60歳以前の退職もある)から、より長く働く場合はその後の年金を増額する変更などの内容が検討されています。
まだ法案も議会に出せていない状況ですが、改革の方向自体が年金の減少に向けたもの、ということで影響を受けるとされる職業の人々が一丸となってストライキを企画している、ということになります。
フランスのストライキの影響 まとめ
12月5日のストライキは、教師の組合も加わっていて、多くの学校も休校・休講になるケースが出てきそうです。大学などは鉄道を使って通う学生・先生も多いので、基本的には機能しないでしょう。
そのほか郵便・航空会社など多くの機関にストライキの影響があって、しかも今回は「無期限」を訴えているので、政府の出方次第では、長期化する可能性もあります。クリスマス休暇で大きな国民の移動があるフランスでは、すでにその時期への心配の声が挙がっています。
国民生活に大きなダメージのあるストライキで、しかも一般企業の会社員や自営業者は自分たちの利益にならないのですが、それでも国民の約6割がこのストライキに理解を示しているところがフランスらしいですね。
まだ改革案もまとまっていない段階で、政府が何かしらを譲歩する余地もなく、まだストライキを行う組合員などは基本的に「年金改革そのもの」の撤回を求めているので、仮にストライキが短い期間で終わったとしても、根本的な解決には長い時間がかかりそうです。