この季節恒例、文学界のメインイベントである芥川賞・直木賞。2019年上半期の結果が7月17日夜、発表になりました!
選考会と発表が行われたのは、これまた恒例の東京・築地の料亭「新喜楽」です。ここは日本三大料亭のひとつとされています。
選ばれたのは、
■「芥川龍之介賞」(芥川賞)
今村夏子『むらさきのスカートの女』
■「直木三十五賞」(直木賞)
大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』
でした。
受賞作は報道でも多く取り上げられるので話題になりますが、「じゃ落選者は誰でどの作品だったの?」も気になるところですよね?
ということで、『芥川賞・直木賞2019決定!落選者は誰?選考方法も気になる!』と題して、2019年上半期の芥川賞・直木賞の落選者、すなわち候補者、そしてそれぞれの賞の選考方法についてご紹介したいと思います!
Contents
芥川賞・直木賞2019 落選者は誰で、どの作品?
今年、第161回芥川賞・直木賞で候補となったのは、次の作品です。
第161回 芥川龍之介賞 受賞者以外の候補作(落選者)
●高山羽根子『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』(すばる5月号)
●古市憲寿『百の夜は跳ねて』(新潮6月号)
●古川真人『ラッコの家』(文學界1月号)
●李琴峰『五つ数えれば三日月が』(文學界6月号)
第161回 直木三十五賞 受賞者以外の候補作(落選者)
●朝倉かすみ『平場の月』(光文社)
●澤田瞳子『落花』(中央公論新社)
●原田マハ『美しき愚かものたちのタブロー』(文藝春秋)
●柚木麻子『マジカルグランマ』(朝日新聞出版)
(それぞれの候補についてプロフィールを現在追加中です)
芥川賞(芥川龍之介賞)の選考方法は?
新人の純文学であること
芥川賞は、純文学作家の中で、新人やまだ無名の作家に与えられる賞です。新人作家の中で、非常に高い才能をもつ人を後押ししたり、まだ世間的に発掘されていない作家に光をあてるということを目的にしているので、選考基準でも「新人、無名であるかどうか」が大切になります。
短編・中編であること
これまでの受賞作を見ると、概ね原稿用紙で100枚から200枚くらいの作品が受賞しているそうです。わかりやすい比較で言うと、村上春樹の『ノルウェーの森』は原稿用紙で約900枚の長編小説です。
選考方法
芥川賞の選考会は、上半期が7月、下半期が翌年の1月に行われます。どちらも対象期間中(上半期:前年12月~5月)(下半期:6月~11月)に雑誌(同人雑誌を含む)に発表された作品から、何度かの予備選考委員会を経て上記のような「最終候補作」が選ばれ、最後は築地の料亭「新喜楽」1階で開催される選考委員の討議によって受賞作(1作または2作)が決定されます。
直木賞(直木三十五賞)の選考方法は?
選ばれるのは新進・中堅作家の作品から
直木賞は、芥川賞と違い、すでに名の知られた新進・中堅作家が対象になり、エンターテインメント作品の「単行本」(長編小説または短編集)が対象となります。こちらは雑誌や同人雑誌などではなく、書籍として出版されていることが条件となります。
選考方法
直木賞の選考会は、芥川賞と同様、上半期が7月、下半期が翌年の1月に行われます。どちらも対象期間中(上半期:前年12月~5月)(下半期:6月~11月)に、刊行された書籍が対象で、何度かの予備選考委員会を経て上記のような「最終候補作」が選ばれ、最後は築地の料亭「新喜楽」2階で開催される選考委員の討議によって受賞作(1作または2作)が決定されます。
芥川賞・直木賞の最終選考場所は築地の料亭「新喜楽」!
芥川賞、直木賞とも、最終選考は東京・築地で日本三大料亭のひとつとされる「新喜楽」で行われます。
場所はここ。築地市場があった場所のすぐ近くですね。
これまでの通例では、2つの賞は同じ日に芥川賞は「新喜楽」1階、直木賞はその2階で、選考委員による討議が行われます。
1935年に創設された2つの賞ですが、最初はそれぞれ別の料亭で選考が行われていたそうですが、1955年からここで行われるようになり、1961年からはすべて「新喜楽」内で行われるようになって今に至っています。
老舗の料亭で風格もあり、一流のご贔屓筋の顧客が多かったので、情報が漏れにくいといったことから選ばれてきたようですが、単純に2賞の事務局を持つ文藝春秋が銀座にあって、すでに行きつけだったという理由もあるようですね。
芥川賞・直木賞2019 落選者(候補者)は誰? まとめ
ここまで7月17日夜に発表された、芥川賞・直木賞2019年上半期の受賞者と残念ながら選に漏れた落選者(候補者)が誰だったか、そしてその選考方法について、まとめてみました。
芥川賞・直木賞は1935年に作家の菊池寛が友人・芥川龍之介の業績を称えるために直木賞とともに創設したもので、この2つの賞はつねに一緒に選考がひらかれ、日本でもっとも権威ある文学賞となりました。
純文学作家なら、誰でもほしい賞でしょうね。しかし発表されるのは1年に2回。これまで数知れない文学者が「落選」の憂き目にあってきました。もちろん賞を獲得することだけが作家の力量を表すわけではないでしょうが、きっと今回賞にもれた8人はがっかりされていることでしょう。
ということで、あえて落選者に焦点をあてましたが、いかがでしたでしょうか。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!