パリといえば、かならず行くのがオペラ座。
ナポレオン・ボナパルトの甥っ子である皇帝ナポレオン3世によって建設が命じられた壮麗な劇場「オペラ・ガルニエ」が有名です。
夕暮れ時や夜になってからライトアップされたその姿には、約9年住んだ私でさえ今でもうっとりしてしまうほど。
その周辺は、やはり訪れる人も写真を撮る人も多く、いかにも観光地の雰囲気が漂っているのも確か。しかしそこから北へ向かっていって、百貨店ギャルリー・ラファイエットを通り、そこからさらに15分も歩いていくと、ずいぶんと雰囲気が変わってきます。
サン=ジョルジュと呼ばれるその地区周辺は、パリの中でも高級住宅街にあたるところ。
レストランやカフェがならび、賑やかな商店街が広がって、人々がおしゃべりしながら通り過ぎていく、いかにも「パリ」という雰囲気があります。
そんなエリアの中で、静かにたたずんでいるのが「パリ・ロマン派美術館」です。
Contents
まるで隠れ家のような雰囲気がGood!
通りから美術館の入口を入ると、まるでお屋敷のような木々に囲まれた道がのびています。そこを入っていくと、まさしく小さなお屋敷が建っていて、それがパリ・ロマン派美術館の建物。
ここまで来ると、もうパリのど真ん中とは思えないほどです。
ここはかつて19世紀の前半頃、ロマン派の画家、アリ・シェフェールが実際に住んでいた場所。
あのピアニストで作曲家のショパン、そしてその愛人として知られた女流小説家のジョルジュ・サンド、あるいは同じくフランスのロマン派の画家で世界的に知られたウジェーヌ・ドラクロワなどが、友人として訪れていたといいます。
実はこの周辺の地区は、ちょうどこの19世紀の前半に開発された「ヌーヴェル・アテーヌ(新しいアテナ)」という新興住宅地。
モンマルトルに登っていくあたりのゆるやかな丘の風光明媚なところで、上記の文豪や画家など文化人たちが好んで住んでいました。
東京でいえば本郷か御茶ノ水の丘の上のような感じでしょうか。
有名なところでは小説家でフランスを代表する文豪のヴィクトル・ユーゴーも一時期住んだことがあります。
ショパンやサンドの「手」が見られる?!
さてこのロマン派美術館は、この界隈に集っていた彼らロマン派の文化人たちの作品や遺品が残されていることで知られています。
中でもジョルジュ・サンドの遺品を数多くコレクション。
そしてちょっと驚きなのがショパンとサンド、ふたりのデスマスクならぬ、デスハンド!があること。
それぞれが亡くなったあとにつくられた腕の型からつくられた石膏の像です。数々の美しい音楽を書き、みずから弾いたショパンの「手」。
これはショパンのファンにはたまらない?逸品のはず。病気がちだったせいもあるでしょうが、あの音楽にも似た繊細な指先が印象的です。
ぜひ美しい庭園でティータイムを。
おすすめなのは、この美術館の美しい庭園で愉しむお茶。
もともとの持ち主の画家アリ・シェフェールの仕事場であったガラス張りの建物が、ティールームになっていて、夏には外のベンチで飲むこともできるんです!この家を出入りした文化人たちの姿を思い浮かべながら、自分もその時代にタイムスリップしたような気分になれる・・・。
有名な観光地にはない、穴場の醍醐味をぜひお楽しみあれ。
次回もまた、こんな穴場をご紹介していきます。どうぞお楽しみに!!
<Information>
パリ・ロマン派美術館
Musée de la vie romantique
住所:16, rue Chaptal
75009 Paris
開館時間:火〜日 10:00〜18:00(月曜日と多くの祝日は休館)
アクセス:メトロ12号線サン=ジョルジュ駅またはピガール駅から徒歩
ウェブサイト(英語版):http://museevieromantique.paris.fr/en