世界料理界の王者のひとつに君臨する「フランス料理」。
しかしそのイメージは主に「グランド・キュイジーヌ」と呼ばれる、宮廷料理に始まった高級料理、高級料理店のそれ。研鑽を積んだシェフが素材を選びぬき、伝統的なレシピと新しい発想を採り入れながら一皿を仕上げる・・・そんな手の込んだ料理のイメージがあります。
もちろんそれは素晴らしい文化で、とても美味しいわけですが、パリにいるからといってそういう料理を日常的に楽しむわけにもいきません。
ふだんはパリジャンも、もっとカジュアルな、肉を中心にした地方料理だったり、家庭の味だったり、あるいは中華料理やハンバーガーやピザやパスタなどの庶民的な味を楽しみたかったりします。
そんなフランス人が日常的に利用するのがイタリア料理です。
パリでおいしいイタリアンを探すのは難しい
パリの中心部でもたくさんのイタリア料理店があって、割と手軽でわかりやすいせいかたくさんの観光客が訪れます。しかしこの街でおいしいイタリアンを探すのは容易ではありません。
世界一の食いしん坊であるイタリア人が祖国で作る本場の美味しさとは比べるべくもありませんが、それにしてもパリのピザやパスタは「気合いが足りない!」ものが多すぎます。
生地がふにゃふにゃで香ばしさにかけるピザ。パンチのないパスタ。とりあえずトマトとチーズを重ねただけのカプレーゼ・・・。最近はだいぶ改善したと思いますが、かつては特に観光地にならぶイタリアン・レストランで、力の入っていない料理が多かった印象があります。少なくとも、きっとイタリア人なら来ないだろうなというような。
そんな「美味しくないイタリアン料理の激戦区」レ・アル地区で、「ここは!」と思えるレストランに出会いました。
名物カポナータと茸たっぷりのパスタをどうぞ
パリにはたくさんのイタリア人が住んでいるし、本場の味を知っているフランス人も多いので、美味しいイタリア料理店がないはずはないのです。
場所は、ルーブル美術館からも遠くない、レ・アルショッピングセンターの近く。レ・アルは昔、パリの中央卸売市場があったところなので、その名残で周囲にレストラン街がたくさんあります。
今回のおすすめは、ここ
「Enza & Famiglia Torattoria e accanto」
photo by Takeshi
ここは主に前菜とパスタのお店。実はすぐ近くに「Enza & Famiglia Pizze Vino」という同じ系列のピッツァ&ワインのレストランがあります。
どちらもイタリア産を中心にした美味しいワインと本格的なイタリア料理を楽しむ店。パリに住むイタリア人がお客さんにも多い気がします。
photo by Takeshi
前菜に選んだのはこちら、生ハムのプレートとカポナータ。カポナータは、野菜のトマト煮。南仏のラタトゥーユのイタリア版みたいな料理です。
そしてパスタはこちら、季節の茸のタリアッテーレとパスタ・カルボナーラ。
photo by Takeshi
このポルチーニやジロール茸を使った秋冬限定のパスタが美味すぎ。
photo by Takeshi
パリでイタリア人の食いしん坊ぶりを実感するレストラン。イタリアのアペリティーヴォ(食前酒)の王者スプリッツやワインを一緒に楽しみながら、気軽に寄りたい穴場スポットです。
<Information>
Enza & Famiglia Torattoria e accanto
93 Rue Saint Honoré, 75001 Paris
月〜金 12:00-15:30 / 19:30-23:00
土 12:00-15:00 (日曜日定休)