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バカロレア(フランス大学入学資格試験)2019|哲学の問題は何?

2019年6月17日にフランス全土で行われた普通バカロレア(Baccaloreat 通称Bac=フランスの大学入学資格試験)の重要科目、哲学の試験問題が発表になりました。

日本とフランスでは大学入試制度が異なるのですが、この試験はこの秋の新年度に大学に入学するための資格を得るためのもので、主に高校の最終年度の学生たちが受験します。

バカロレアは人文系、経済社会系、理系と3つの分野に分かれていて、それぞれでそのあとの進路が違ってくるわけですが、どれも日本と違って記述・論文形式の問題が多いのが特徴です。特に「哲学」はすべての分野に共通で課される重要な科目で、しかも伝統的に難しく、これをどうクリアするかが高校生たちの悩みの種でもあり、毎年のニュースの話題にもなるわけです。

そして今年はどんな手ごわい問題が出たのでしょうか??「バカロレア(フランス大学入学資格試験)2019|哲学の問題は何?」と題して、ご紹介します。

フランスのバカロレア2019 哲学の問題は何?

2019年バカロレア試験の哲学の問題は以下の通りです。
それぞれ、出題されている3つの問題の中から1つを選択して、小論文で解答します。

バカロレア人文系(Bac L)の哲学の問題

Sujet 1 : Est-il possible d’échapper au temps ?
問題1「時間から逃れることはできるか?」

Sujet 2 : À quoi bon expliquer une œuvre d’art ?
問題2「芸術作品を説明することが何の役に立つ?」

Sujet 3 : Expliquer le texte suivante :
問題3「次の文章について説明しなさい」

問題3については、そのすぐあとに哲学者ヘーゲルの「法の哲学」(フランス語訳 Principes de la philosophie du droit)の文章があり、それについて論評するという問題です。

バカロレア経済社会系(Bac S)

Sujet 1 : La pluralité des cultures fait-elle obstacle à l’unité du genre humain ?
問題1「文化の多様性は人類統合の障害になるか」

Sujet 2 : Reconnaître ses devoirs, est-ce renoncer à sa liberté ?
問題2「義務を承認することは自由を放棄することになるか」

Sujet 3 : Expliquer le texte suivante :
題3「次の文章について説明しなさい」

問題3については、そのあとすぐに哲学者フロイトの著作「幻想の未来」(フランス語訳:L’Avenir d’une illusion)の文章があり、それについて論評するという問題です。

バカロレア理系(Bac ES)

Sujet 1 : La morale est-elle la meilleure des politiques ?
問題1「倫理は政治家にとって最も重要なことか」

Sujet 2 : Le travail divise-t-il les hommes ?
問題2「職業は人間を分裂させるか」

Sujet 3 : Expliquer le texte suivante :
問題3「次の文章について説明しなさい」

こちらも問題3については、そのあとすぐに哲学者ライプニッツの論考「デカルトの原則の一般的な部分についての気づき」の文章があり、それについて論評するという問題です。

※問題の翻訳については、TOKYO SCOPEによるもので、ニュアンスなどは解釈によって異なる場合もあります。

フランスのバカロレアの仕組みを簡単に説明

以上がフランスの大学入学資格試験の普通3分野の「哲学」の問題です。それぞれ、1~3の問題からどれか1つを選んで、論文形式で解答します。

この哲学の試験に、与えられる解答の時間は4時間です。

Free-Photos / Pixabay

 

ただ書けばいいのではなくて、歴史上の哲学者の言葉を引用したり、考えるための方法論を、うまく使いながら論理的に説明しなければなりません。このため、なるべく多くの哲学者についての知識や、哲学での考え方、論じ方についてあらかじめ知っていないと、まともな答えは書けません。ちなみにフランスの試験では鉛筆は使えず、たいていはボールペンで書くことになるのでその点も注意が必要です。

人文系の場合、この他に、「国語」「外国文学」「歴史・地理」「実践外国語1・2」の試験科目がありますが、いちばん配点が高いのは「哲学」というところがフランスっぽいですね。

このバカロレアは、一定の得点をとれば、大学入学資格をとれますが、逆にこれに通らないと将来の進路や就職に影響し、一生ついてまわるので、大学に入っていい人生を歩みたい高校生にはなんとしても取得したい資格です。

ちなみに「大学」とずっと言っていますが、フランスでは「大学」といえば「国公立」で、私立の大学はありません。ただ私立の高等専門学校などは、たいていこの資格を条件にしています。

まとめ フランスバカロレア2019の哲学の問題

ここまで「バカロレア(フランス大学入学資格試験)2019|哲学の問題は何?」と題して、フランスの高校生が頭を悩ませるテーマについてご紹介してきました。

哲学の試験は、このバカロレアでは必須科目で、しかもとても重要。配点が高いのはもちろんですが、これによってきちんと論理立てて自分の意見を書いたり、本を読んで理解しそれを上手に活かすことができるか、などさまざまな資質を問われることになります。

ただ知識があるだけでなくて、どう理解し、どう考え、どう説明するかを問われるフランスの高校生の試験。

もちろん、全員が真面目に取り組んで、まともに答えを書けるわけではないでしょうが、それを準備するための過程も大事。良いか悪いかは別にして、少なくとも日本の大学入試とは大きく違うのは確かなようです。

最後までご覧いただきありがとうございました!