カトリック教会の最高権威であるもっとも位(くらい)の高い司教を日本では「ローマ法王」と呼んできました。でも世界史の教科書や本などでは「ローマ教皇」とか「教皇○○」という呼び方が多く出てきますよね?
これってなぜ?どっちが正しいの?!
と思った方も多いのではないでしょうか。
日本政府は11月20日、この呼び方論争に終止符を打ち、正式な呼称を「ローマ教皇」と変更することに決めました。
「法王」と「教皇」の2つの呼び方はなぜ生まれたのか。どちらが正しいのか。あらためて検証してみました!
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ローマ「法王」と呼ばれるのはなぜ?その由来
もともと日本では宗教上の最高指導者に「法王」の言葉を使ってきました。
特に仏教の世界では「仏法」におけるトップを示す言葉で、たとえばお釈迦様や如来などを、サンスクリット語の「ダルマラージャ」を訳して「法王」という言葉をあてていたといわれています。
これがカトリックの最高権威である「pope」の訳に使われることがあったのですが、カトリックの総本山であるバチカンと日本が1942年に外交関係を樹立したとき、日本にはバチカンの機関として「ローマ法王庁公使館」という名前が登録され、これが「法王」と正式に呼ばれるきっかけになったようです。
その後、「法王」と「教皇」の呼び方が混ざって使われてきました。
カトリック教会の日本における正式団体である「カトリック中央協議会」は、国を治める「王」の言葉でなく、宗教上の「教え」を伝える人ということで「教皇」に統一。政府にも「ローマ法王庁大使館」から「ローマ教皇庁大使館」への変更を申し入れたそうですが、「各国公館の名称変更はクーデターなどによる国名変更時など、特別な場合以外は認められない」と却下。
このため政府はもちろん、NHKをはじめとするメディアも「法王」「法王庁」を使ってきたという経緯があったのです。
「法王」と「教皇」の違いはなに?
上でも書いたように、「法王」と「教皇」はどちらも同じカトリックの最高権威=ローマ司教、英語で言うところの「Pope」、ギリシャ語の「papas」を表しています。語源は「パパ」つまり「父」と同じです。
それを日本語に訳す時に、宗教上のいちばん位の高い人を指した「法王」の呼び方にするか、それとも教えを授けるもっとも最高位の人という「教皇」の呼び方にしてきたかの違いということになります。
カトリック中央協議会、つまり日本のカトリック会ではヨハネ・パウロ2世の来日にあわせて「教皇」の呼び方に統一してきたそうです。
「法王」と「教皇」正しいのはどっち?
これまで日本のカトリック中央協議会が「教皇」での呼称統一を呼びかけてきて、今回日本政府が「教皇」を正式な呼称とすると決めたことで、日本での正式名称は「教皇」となることになりました。
メディアでも「教皇」の呼び方に今後統一されていくことでしょう。
ということで日本における現在のカトリックの最高権威の称号は
「教皇」が正しい
ということになりました。
これで、世界史の中での呼ばれ方と統一され、すっきりしそうです。
とはいえ、これまでずっと「法王」を使ってきたメディアの対応が統一され浸透するにはちょっと時間がかかるかもしれませんね。