数々の歴史と伝説を生みだしてきた秘密結社と世に知られる「フリーメイソン」。フリーメイソンといえば、厳しい掟と入会の際の秘儀など、その閉鎖性と神秘性が取り沙汰されることが多いのですが、パリには普通の人も入れる公式のミュージアムがあります。
photo by Takeshi
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フリーメイソンの由来とは
「フリーメイソン」の歴史をさかのぼると、少なくとも16世紀にスコットランドでこの会の本山にあたり「ロッジ」が存在したといわれています。「フリーメイソン」はフランスでは「フラン・マソヌリー」と呼ばれますが、どちらも「石工団体」つまり建築分野の組合のようなものを指すようです。実際、建築という分野はすべての知識に精通していなければならず、社会的地位も高ければ、その技術を伝える仕組みが必要で、しかもこうした職人集団はヨーロッパでは教会など各地の建設現場を転々としながら仕事をしていたため、次第に国を越えた独自のネットワークをつくっていったといわれています。
photo by Takeshi
それが実際に元になったかは不明らしいのですが、イギリスでは建築には関係のない、貴族や紳士や知識人たちによる「思想を大事にしたフリーメイソン」の活動が活発になり、それが世界へと広まったのが、今の「フリーメイソン」です。
フランス革命の影の首謀者?!
フランスではこの「フラン・マソヌリー(フリーメイソン)」の動きが18世紀以降さかんで、今もしっかりと根づいています。パリの本部は「秘密結社」のイメージとは裏腹に、パリ9区のにぎやかな商店街の中にあって、そこに「フリーメイソン博物館」もおかれています。一般公開されている、といっても、ここは同じくフランスのフリーメイソン総本山「グラントリアノン」。同じ建物の中には、会員だけに許された部屋があり、会合や儀式が実際に行われているといいます。
いまは公式には「友愛・慈善」を目的に集まる団体ということになっていますが、組織内での秘密主義や独特の昇級儀式、数々のシンボルの存在など、謎はたくさん。政治や経済にも影響を与える多くの実力者を抱えていることは昔も今も変わらず、結果として多くの会員がフランス革命やアメリカ独立などの歴史に関わっていたことで「世界を動かす陰謀の影の首謀者」というイメージができあがったのかもしれません。
自由の女神にもフリーメイソンの逸話
フランスのスローガンは「自由、平等、友愛」。フリーメイソンの基本理念は「自由、平等、友愛、寛容、人道」とあって、かなりその理念で似通ったものがあります。フランス人権宣言の書にもアメリカの1ドル札にも「プロビデンスの目」というフリーメイソンも用いるシンボルが使われ、フランス革命や今に続くフランス共和国のシンボルである「マリアンヌ像」は、なんとフリーメイソンの象徴でもあります。そしてフランス国歌「マルセイエーズ」の作者もフリーメイソン会員。そしてニューヨークとパリにある「自由の女神」像は、アメリカとフランスのフリーメイソンが互いの「独立記念」と「革命記念」を祝して贈りあったものです。
マリアンヌ像 photo by Takeshi
ここまでネタが上がってくると、やはり何かウラにあるのではないか、と考えてしまうのも無理はないのかもしれません。いずれにしても、このミュージアムはまさにこの「フリーメイソンのなんたるか」を知るための場所。謎を解き明かしに、勇気を出してこのミュージアムの門をくぐってみては?
<Information>
Musée de la Franc-Maçonnerie フリーメイソン博物館
16 Rue Cadet, 75009 Paris
10:00〜12:30 / 14:00〜18:00
公式ウェブサイト