引き続きパリの北側、モンマルトル地区のとっておきをお届けします。
モンマルトル地区といえば、映画「アメリ」を思い出す人もいるでしょう。
女優オドレイ・トトゥが一躍有名になったジャン=ピエール・ジュネ監督の映画。
アメリが働いていたカフェ「Deux Moulin ドゥ・ムーラン」、アメリの大家さんだった八百屋、アメリがあこがれの彼、ニノと会った回転木馬・・・
あの映画の中で出てきたシーンの多くが、モンマルトル地区にあります。
そのシンボルとして君臨しているのが、モンマルトルの丘の上にそびえるサクレ・クール寺院。
photo by Takeshi
このサクレクール寺院の裏手のほうは、どこか懐かしいようなパリの風景がたくさん。
石畳の細い小径、急な階段、丘の斜面に張り付いたような古めかしい建物。
車があまり入って来ないせいか、静かで、パリの中心部とはまったく違う世界が広がっています。
その別世界感を象徴するような場所にあるのが、「モンマルトル美術館」です。
Contents
おすすめはラマルク・コランクール駅からのアクセス。
美術館へは、映画「アメリ」の撮影にも使われたメトロ12号線の「Lamarck Caulaincourt ラマルク・コランクール」駅からアクセスするのがおすすめ。
サクレ・クール寺院の最寄駅「Anvers アンヴェール」駅からも行けますが、ここは観光客も多く、それを狙った物売りが多いので、なんとなく雰囲気が微妙。
「ラマルク・コランクール」駅からなら、周囲は住宅街で静か、しかも美術館までの道のりは、まさにモンマルトルらしい風景です。
Rue de l’Abreuvoir アヴルヴォワール通り photo by Takeshi
パリの中心部と違って、建物のデザインが牧歌的。
2〜3階建てくらいが多く、かつてここが「芸術村」だった頃を彷彿とさせます。
photo by Takeshi
ここが、モンマルトル美術館の入口!
コルト通り12番地にあるこの建物は、画家のモーリス・ユトリロ、彼の母親で同じく画家のシュザンヌ・ヴァラドン、そして印象派の画家として世界に知られるあのオーギュスト・ルノワールなどなど、19世紀後半から20世紀にかけての偉大なアーティストたちが住居やアトリエに使っていた場所。
ユトリロの母のヴァラドンは、やはりこの通り沿いに住んでいた20世紀の偉大なる作曲家エリック・サティの愛人だった人でもあるんです。
そして、過去へのタイムスリップ気分を味わえる
美術館の中へ!
美術館の中へ入ると、画家たちが住んでいた建物があり、その先には<ルノワールの庭>と呼ばれる中庭が広がっています。
photo by Takeshi
ここはルノワールのいちばん有名な絵のひとつ『ムーラン・ド・ラ・ギャレットのダンスホール』そして同じく『ぶらんこ』という2つの作品が描かれた場所。
この2つの作品はオルセー美術館に行くと見ることができます。
街の中の公園と違って、入場料を払わないとこの庭には来られないので、静かで、しかも上品な雰囲気。ここから丘の上の方を見ると、アパルトマンが建ち並び、
その先には、ふだんの観光では見ないサクレクール寺院の美しい後ろ姿。
生活する人々の姿や声も感じられて、まるでほんとうに100年前に来てしまったかのようです。
印象派時代の画家のアトリエを見られる場所。
パリで、オルセー美術館やルーブル美術館に行けば、印象派の絵は見ることができます。でも画家たちがどんな場所で、どんな生活をしていたかまで知ることはできません。
この美術館の建物は、偉大なる画家たちが実際に通り過ぎていった場所。
そしてその当時の様子を見せるために、先ほどのユトリロとその母ヴァラドンが使っていた住居兼アトリエが写真や資料をもとに忠実に再現されているのです!
photo by Takeshi
舞台装置のような箱だけの空間でなく、当時と同じ建物内に作っているので、とってもリアル。
ルノワールの庭に向けた大きなガラス窓、アトリエには家具や画材や、生活用品、そして彼らの作品。ずっと見ていると、2人がほんとうに出てきそうな感覚にとらわれます。
いかがでしょう?
ただ作品が置いてあるだけの美術館ではなく、その時代の空気まで伝えてくれそうなモンマルトル美術館。
パリの生活空間を垣間見るのにも、もってこいなスポットです。
<Information>
Musée de Montmartre モンマルトル美術館