今年も「ノーベル賞の発表」シーズンとなりましたね。
ただ2020年の今年に限っては、コロナの影響により、受賞者は会場には来ずリモート参加になりました・・
それでも中止にならないだけ良かったです。
ということで今年も『ノーベル賞2020日程と各賞の日本人&候補者を紹介!』と題して、気になるノーベル賞の「6つの部門」日程や候補者についてお伝えします。
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2020年ノーベル賞各賞の発表日と時間はいつ?
今年の日程は、10月5日〜12日までが各部門受賞者の発表で、12月10日に授与式が行われます。
この「6つの部門」とそれぞれの発表日程を、順番にご紹介します。
ノーベル生理学・医学賞
10月5日(月)日本時間18時30分頃発表
初日は、「生物・医学賞」から始まり、「物理学賞」「化学賞」と、いわゆる自然科学3賞が、順番に発表されます。
この自然科学3章では、昨年2019年まで、日本人が2年連続受賞しているので、今年受賞者がでれば3年連続!となるため、かなり注目されてます。
これまでの日本人受賞者は、1987年受賞の利根川進さん、2012年の山中伸弥さん、2015年の大村智さん、2018年の本庶佑さんの4人です。
ノーベル物理学賞
10月6日(火)日本時間18時45分頃発表
この物理学賞を知らなくても「名前は知ってる」という人も多い、日本人初ノーベル賞受賞者、湯川秀樹さん(1949年)を筆頭に、1965年の朝永振一郎さん、1973年の江崎玲於奈さん、2002年の小柴昌俊さん、2008年の南部陽一郎さん・小林誠さん・益川敏英さん、2014年の赤崎勇さん、天野浩さん、2015年の梶田隆章さんと10人が受賞しています。
ノーベル化学賞
10月7日(水)日本時間18時45分頃発表
この賞の日本人受賞者は、1981年の福井謙一さん、2000年の白川英樹さん、2001年の野依良治さん、2002年の田中耕一さんと3年連続で受賞者が出ましたが、その後2008年の下村脩さんまで受賞者は出ませんでした。そして、2010年の根岸英一さん、鈴木章さん、2019年の吉野彰さんの8人と続きます。
ノーベル文学賞
10月8日(木)日本時間20時頃発表
これまでの日本人での受賞者は、1968年の川端康成さん、1994年の大江健三郎さんの2人のみ。2017年は日本にルーツをもつカズオ・イシグロさん(英国)が受賞して話題になりました。
ノーベル平和賞
10月9日(金)日本時間18時頃発表
ノーベル賞の創設を遺言し、その資金提供をしたアルフレッド・ノーベルはスウェーデンの化学者ですが、隣国ノルウェーとの和解と平和を願って「平和賞」だけはスウェーデンではなく、ノルウェー政府が授与することになっています。
日本人では首相を務めた佐藤栄作さんが1974年に受賞しました。
ノーベル経済学賞
10月12日(月)日本時間18時45分頃発表
アルフレッド・ノーベルが創設を遺言した「ノーベル賞」ですが、その遺言の中に「経済学賞」は入っていませんでした。
このため正式には「ノーベル賞」ではなく「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」という長い名前がついています。1968年にスウェーデン銀行がノーベル財団に提唱して創設されました。
主に「経済学理論」の分野で重要な研究をした人物に与えられます。
日本人ではこれまで受賞者がいません。
2020年ノーベル賞各賞の候補者は誰?日本人話題の候補者を紹介!
ノーベル生理学・医学賞の日本人候補者
■中村祐輔氏 東京大学名誉教
日本では過小評価されている、遺伝子・ゲノム情報を基にした『オーダーメイド医療』の先駆けとなった研究で、ゲノム医療の第一人者です。
個々の患者さんのがん治療に対して、最適な治療ができることが期待されてます。
■坂口志文氏 大阪大学特任教授
免疫システムが『暴走』し、正常細胞まで攻撃してしまう、自己免疫疾患に対し、それを制御できる制御性T細胞を発見と転換させる研究で、難病治療への応用・成果が期待されてます。
■森和俊氏 京都大学教授
神経変性疾患など、多くの疾患の原因になると思われる、小胞体ストレス応答の仕組みを解明したことで注目されてます。
■遠藤章氏 東京農工大特別栄誉教授
血中コレステロールを下げる『スタチン』を発見。
これにより、血中コレステロールが高いと発症する可能性が高い、心筋梗塞・脳卒中予防として全世界、毎日約4000万人に投与されている薬が開発され多くの命を救っています。
■満屋裕明氏 国立国際医療研究センター研究所長
世界初のHIV治療薬『AZT』の開発だけでなく、その後も研究を重ね、2番目と3番目となる『ddI』『ddC』も開発して多くHIV治療に多大な貢献をしてます。
2020年ノーベル生理学・医学賞は、ハーベイ・アルター氏 米国立衛生研究所・チャールズ・ライス氏 米ロックフェラー大・マイケル・ホートン氏 カナダ・アルバータ大、の3名に決まりました。
C型肝炎ウイルスを発見した功績によるものです。この発見によりC型肝炎の撲滅へとつながる可能性があることが受賞理由のようです。
ノーベル物理学賞の日本人候補者
■香取秀俊氏 東京大学教授
300億年で何と僅か1秒ほどしか、ズレない、極めて高精度の「光格子時計」を開発。
これにより、一般相対性理論の『重力は時空を歪める』
つまり、重力が強いほど『時間が遅くなる』ことを、実際に計測し判るようになったということです。
火山地帯の定点観測時、ほんの僅かの時間のズレが生じていることが判れば、地殻変動をかなり早く察知することができ、防災に役立つなど、幅広い応用が期待されてます。
■細野秀雄氏 東京工業大学教授
特定の金属や化合物は極低温に冷やすと、電気抵抗が『0』になる超伝導という現象を起こしますが、『鉄』では超伝導にはならないと思われていたものを根本から覆す『鉄系超伝導物質』を発見。
これにより、超伝導の活用のはばが格段に広がるので、電力ロスの解消ができてエネルギーインフラ網の劇的変化が期待できます。
2020年ノーベル物理学賞は、ロジャー・ペンローズ氏 オックスフォード大学・ラインハルト・ゲンツェル氏 マックス・プランク地球外物理学研究所・アンドレア・ゲッズ氏 カリフォルニア大学の3名に決まりました。
ブラックホールの研究に大きな貢献をした功績が認められたというのが理由のようです。
ノーベル化学賞の日本人候補者
■藤田誠氏 東京大学卓越教授
物質や分子などのそれぞれの「個」が、自然に結びつき、秩序を持つ構造を作り出す現象である『自己組織化』を応用して、パラジウムと窒素による100万分の1ミリの「正方形」をつくることに成功しました。
これによって、人工的な化学反応を使わず、材料を混ぜるだけで複雑な構造物質をつくることが可能になり注目されてます。
■山本尚氏 中部大学教授
「キラル・ルイス酸触媒」という触媒をペプチド合成に応用し成功。
これによって、副作用は少ないが生産コストが高いため、ほとんど実用化されてない『ペプチド医薬品』を低コストで生産することが可能になると注目されてます。
2020年ノーベル化学賞は、エマニュエル・シャルパンティ氏 マックスプランク研究所・ジェニファー・ダウドナ氏 カリフォルニア大学の2名に決まりました。
「ゲノム編集」の新たな手法を開発し、がん治療への貢献のほか、遺伝性疾患の治療、そしてコロナ治療への可能性を開いたことが受賞理由のようです。
ノーベル文学賞の日本人候補者
■村上春樹氏
毎年有力候補として名前が上がってます。今年こそ!
■多和田葉子氏
ドイツ在住の日本人小説家・詩人。1991年群像新人文学賞受賞、1993年『犬婿入り』で芥川賞受賞など受賞歴多数。2018年にドイツで権威あるクライスト賞を日本人で初めて受賞し注目を浴びました。
2020年ノーベル文学賞は、アメリカの詩人 ルイーズ・グリュック氏に決まりました。
ノーベル賞の選考委員会の評価理由は、このようなものです。
厳粛な美を伴う、まぎれもなく詩的な声で、個の存在を普遍的なものにした。
英語の場合(他の外国語もそうですが)、特に詩や文学となると「翻訳者」によってかなり違うものになりかねないので、英語バリバリ!という方の場合は、直接原文に触れてもらったほうが、より良さがわかるかと思われます。
ノーベル平和賞の日本人候補者
残念ながら日本人候補者はいません。
2020年ノーベル平和賞は、WFP(国連世界食糧計画)に決まりました。
食糧支援を行う活動をして、飢餓のない世界を目指している国連の人道支援機関です。
活動資金は、すべて募金や拠出金などで運営されているので、今回の受賞は非常に有意義なものだと思います。
さすがにトランプ大統領ではなくて、変な忖度はない組織だとホッとしたのは私だけでしょうか・・
ノーベル経済学賞の日本人候補者
■清滝信宏氏 米プリンストン大学教授
資産価格の下落によって担保価値下落、銀行貸出減少、企業の設備投資も停滞し不況の長期化を招く仕組みを解明したことが注目されてます。
2020年ノーベル経済学賞は、ポール・ミルグロム氏 スタンフォード大学・ロバート・ウィルソン氏 スタンフォード大学の2名に決まりました。
売ることが困難であった、モノ・サービスなど(例えば「電波などの周波数」)も、販売できることになった『オークションメカニズム』の研究によって、買い手・売り手・納税者に利益になったということが受賞理由のようです。
おわりに
今年は、残念ながら自然科学3賞の日本人受賞者はなく、3年連続とはなりませんでした。
また、文学賞・・・今年も村上春樹さんの受賞はなかったです。
来年こそは期待したいですね。
ノーベル賞は元々、長年の研究や活動の成果に対して与えられることが多いので、来年はどうなるでしょうか?
コロナを撲滅するような、画期的発見や発明があり、コロナはもう、ただの流行性感冒だとされるくらいになれば、受賞となるかもしれません。
それ期待したいです。
※2020年ノーベル賞の結果をすべて反映させ記事更新しました。
最後までご覧いただきありがとうございました!