突然ですが、京都四条大橋の鴨川河べりの名物ってご存知ですか?
夏の風物詩河床!
ではなくて、カップルが等間隔を開け、座っている風景のことです。
それはもう、面白いくらい見事に等間隔で座ってますが、彼ら彼女達は特に意識して等間隔にしようとしているわけでなく、本能的にそうなってしまっている。
という方が当てはまります。
それは何故でしょうか?
人は何故、一定の距離を取りたがるのか?
今回は、その理由について紹介したいと思います。
Contents
パーソナルスペースとは?
人間は無意識下でも、自分の身体を中心として(一般的に)、卵形の「縄張り」を張っています。
たとえば美術館に行き、展示物を見ていたとします。
展示物を眺めていると、見ず知らずの人が展示物を見ながら近づいて来る場面を想像してみてください。
自分としてはまだ見ていたいですが、そのまま少しづつ距離が縮まって来て・・・ある一定の距離まで近づかれたら、「圧迫感」を感じますよね
そして仕方なく、その場を離れるという行動をとってしまうはずです。
そういう経験や、思いを感じた方は多いのではないでしょうか?
その圧迫感を感じる距離(範囲)が縄張りで、これをパーソナルスペース(パーソナルゾーン)と言います。
ひとことで言うと心理的バリヤですね(ATフィールドとも言えます)。
ただ、この縄張りは形あるものでなく、精神的なものである為「変化」します。
パーソナルスペースの変化について
パーソナルスペースは、目に見える物理的なバリケードではなく、心理的バリヤであるために、一定ではないことは先程述べさせていただきました。
それではどういう時に変化したり、違いがでるのか?について触れていきたいと思います。
対象による変化
対象を人間とした場合、以下の様な関係性が成り立ちます。
・親しい相手・・「よく知っている」レベル 一般的には親兄弟や友人に該当します。勿論その中でも優劣があり、例えば友人でも単なるクラスメートや会社の同僚と、親友や恋人などのパートナーという間柄では大きな違いがでます。
当然パーソナルスペースは狭いです。
・知人レベル・・「知っている」レベル
ここは他と比較し、一番レベル幅(振り幅)が物凄く大きいゾーンです。
まったく知らない相手ではなく「顔は見たことあるな」から、「友達ではないけどよく知っている」までと、対象相手の情報量によって、かなり違ってきます。
一般的な状態では、通常の範囲を基準とした場合、パーソナルスペースは少し狭くなります。
※補足説明:このあとの「心理状態」に付随することですが、嫌いな相手ではパーソナルゾーン(ATフィールド)は最大化します。
・他人・・・「知らない人」はすべてです。
街中を歩いていてすれ違う時を含め、これからクラスメートや同僚になる「初対面」の人も一旦はここに入ります。パーソナルスペースは通常範囲です。
単純に区分けをしたとすると上記のようになりますが、知人レベルの振り幅だけでなく、それぞれのゾーンはその時の自分の感情によっても範囲が変化します。
心理状態
自分自身の、そのときどきの体調を含めた心理状態によって、スペースが変化します。
・心理状態上昇・・「機嫌が良い」
いわゆる上がる時です。
良いことや嬉しいことがあったりすると、パーソナルスペースは縮小=範囲が狭くなります。
スポーツ観戦をしていて、スーパープレーや優勝の瞬間。
ぜんぜん知らない他人なのにハイタッチしたり、ハグしたりしている場面を見たり経験したことがありませんか?
またコンサート会場でハイになると、見ず知らずの人と肩を組み、一緒に盛り上がったりします。※ATフィールド消滅ということです。
・普通・・「平常心」
特に気分が良くも悪くもない平常時では変化はしません。
・心理状態低下・・「機嫌が悪い」
気分が落ち込んでいたり嫌なことがあると、親しい相手であっても「構わないで欲しい」「そっとしといて!」と思ってしまうことがありますよね。
そういう心理状態では、パーソナルスペースは広くなります。
これらの関係性を表にすると以下のようになります。(これ以外の外部要因はこのあとで)
親しい相手 | 知人レベル | 他人(知らない人) | |
心理状態上昇 (機嫌が良い) | パーソナルスペースはまったく気にならない | 通常パーソナルスペースよりさらに縮小 | 通常パーソナルスペースより範囲縮小 |
心理状態普通 (平常心) | 通常パーソナルスペースより範囲縮小 | 通常パーソナルスペースより少し縮小 | 通常パーソナルスペース |
心理状態低下 (機嫌が悪い) | パーソナルスペース拡大 | パーソナルスペースさらに拡大 | パーソナルスペース最大化 |
この表はあくまで「自分」を基準としてます。当然ながら相手が同じゾーンであるとは限りません
一番わかりやすい例は、俳優やアイドルの「ファン」です。
自分自身は、相手のことをかなり知っていて、パーソナルスペースは0距離だと思っていても、相手側はまったく知らない他人なわけですから、当然距離は離れています。
もちろん相手が、自分のファンだと認識すると、その時点で知り合いゾーンに移行したりして距離は変化しますが、それでも一般的には自分が思っている距離程近くではありません
名称の通り、「パーソナル」であることを認識しておくのも重要なことです
環境要因について
心理状態だけでなく外部要因として、そのときにおかれている環境によっても変化します。
たとえば、混雑している車内やエレベーターと、大きな会場で閑散としている場面とでは違ってきます。
混雑した車内では、体が近い距離でも(限度はあるにせよ)なんとか我慢はできますが、閑散としているのに必要以上に近づかれると一気に不快や圧迫感を感じます。
これは脳の方で、外部環境をみてある程度の判断をしているからです。
(不快だげど)「仕方ない」「我慢」という意識が働いているからです。
これも、人間の進化の過程における社会性の獲得、と言えるのかも知れません・・・
パーソナルスペースを理解し、人とのいい関係を!
どうだったでしょうか?
パーソナルスペースについて、理解を深めることができたのならうれしいです。
実際の対人関係において、この知識があるのと無いのでは、かなり優劣がついてきます。
特に営業や接客の現場では、最近特に「心理学」が重要視されてきてます。
パーソナルスペースにそれをあてはめると、接客時の距離の取り方、初回アプローチの進入角度、接遇時におけるテーブルに座る位置などで、相手に不快と感じさせない、距離を縮めやすいかどうか?などがわかるかと思います。
※たとえば、真正面に座るのはできるだけ避け、対角上に座るなどです。
もちろん、そういう時だけでなく、他人や友人との距離の取り方などの社会生活においても、相手のパーソナルスペースを壊さないように、気を配るなどと応用は効きます。
いつもの距離なのに何か居心地が悪そうにしたり、じわじわと距離が離れたら「今日は何か嫌なことでもあったのかな」と察し、干渉しないようにして、そっと距離をあけ一人にしてあげるとか(単にトイレに行きたかっただけかも知れませんが・・)
2020年7月下旬現在 コロナはまだ終息せず、収束すらする気配がありません・・・
いまは、各自のパーソナルスペースは関係のない、ソーシャルデイスタンスが当たり前になっていて、今後もしばらくは続きそうです。
そういう環境下では、狭いパーソナルスペースの出番は当面ありませんが、人と人の関係は距離だけで測れるものでも、判断できるものでもありません
ともに体調管理には、じゅうぶんに気をつけて、この厳しい時代を乗り越えていきましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。