過去最強クラスの台風 10号が接近してきてます。
台風 10号は、過去最強クラス意外にも、”これまでに経験したことがない暴風・大雨”、”特別警報級の勢力”など、様々な表現で注意喚起されてますが、言葉だけでは、実際どれくらい強いのか?ピンと来ないという方もいます。
しかし今回の台風は、ここで具体的にどれくらい危険なのかを、しっかりと理解・認識しておかないと『正常性バイアス』が働いてしまい、命を落としかねない事態に陥ってしまう可能性があります。
ちなみに正常性バイアスを簡単に説明すると、こういうステップを踏んだ流れになります。
1.日頃(経験したことない)想像できる範囲を、はるかに超えた出来事に遭遇
2.(自分自身を落ち着かせるため)無理やり先入観や偏った視点で判断
3.その異常事態・緊急事態を、正常の範囲だと誤認識
4.危機回避ができず最悪の事態を引き起こす可能性が高まる・・
過去の悲惨な出来事の中でも、「なぜそこで逃げないの?」とか「なんでそこでそういう行動をとるかな・・」という事例が取り上げられたりしてるので、聞いたことのある方もいるはずです。
これを回避するには、
そうすることにより、想像できる範囲を、はるかに超えた出来事ではなくなり、予測範囲内、もしくは予測を少し超えた範囲内に収めることができるからです。
それではまず、台風 の強さについてみていきましょう。
Contents
台風の階級(クラス)分け
台風は、その強さと規模によって、階級分けされています。
日本では、気象庁が台風の勢力を示す目安として決めているものを採用しています。
基準となる風速は10分間平均で、その強さ=最大風速と、大きさ=強風域の半径です。
※風速15m /s 以上を強風 25m /s を暴風
強風・暴風それぞれが吹いている、もしくは吹く可能性がある範囲を『域』と言います。
台風の強さは、以下3つに分けられます。
強い(台風) 最大風速33m /s以上 〜 44m /s未満
非常に強い(台風) 最大風速44m /s以上 〜 54m /s未満
猛烈な(台風) 最大風速54m /s以上
台風の大きさ(規模)は、強風域=風速15m /s以上の半径によって、2つに分けられます。
大型(大きい) 500km以上 〜 800km未満
超大型(非常に大きい) 800km以上
「強さ」の基準である最大風速についても説明が必要ですね。
気象庁HP『風の強さと吹き方』に目安が掲載されています。
一部抜粋して記載します。
最大風速30m /s
人への影響:何かにつかまってないと立ってられない。
飛来物によって負傷するおそれがある。
車への影響:通常の速度で運転するのが困難になる。
建造物への影響:屋根瓦などが、飛散するものがある。
固定されてないプレハブ小屋が、移動・転倒する。
ビニールハウスのフィルムが、広範囲に破れる。
最大風速40m /s以上
人への影響 : 屋外での行動は極めて危険。
車への影響 : 走行中のトラックが横転する。
建造物への影響:固定の不十分な金属屋根の葺材がめくれる。
養生の不十分な仮設足場が崩落する。
最大風速50m /s以上
人への影響 : 屋外での行動は極めて危険。
車への影響 : 走行中のトラックが横転する。
建造物への影響:外装材が広範囲にわたって飛散し、下地材が露出するものがある。
最大風速60m /s以上
人への影響 : 屋外での行動は極めて危険。
車への影響 : 走行中のトラックが横転する。
建造物への影響:住家で倒壊するものがある。
鉄骨構造物で変形するものがある。
それでは、今回の台風10号はどうでしょうか?
台風10号の強さ
【日本気象協会の2020年9月5日 9時の台風10号情報】では
中心気圧 920hpa(ヘクトパスカル)
中心付近最大風速 50m/s
最大瞬間風速 70m/s
となっていて、すでに最大瞬間風速で70m /sという、とんでもない奴に発達してしまってます。
台風の強さは前述の通り、『最大風速』で決まりますが、台風とは熱帯性低気圧が発達したものが正体です。低気圧の発達なので、数が少ない方が強い!ということになります。
その目線も知っておいた方がいいので一応記載しておきます。
しかし、920ヘクトパスカルと言われたってピンと来ませんよね。
そこでまず、ヘクトパスカルとは どんなものか?ついて順を追って説明します。
ヘクトパスカルとは、国際単位系の一つです。
端的に説明すれば、あるものを計測した時、地球内であれば世界のどこで測っても同じ、じゃないとダメ!だし、当たり前ですよね。それで統一された単位のことです。
その単位の一つで力を表す単位は 、ニュートンが使われてます。
1ニュートンは、地球上で約100g の物体にはたらく重力の大きさをあらわします。
わかりやすい単位1kgで考えます。
1kgのかたまりを手にひらに乗せると、「重み」を感じますよね。
重みを感じるのは、地球の重力によって、下に引っ張られているからです。
そして、地球の標準重力加速度は9.8 m/s2なので、1kgだとすると単純計算で1kg(1000g)を9.8で割り、約102gという数値がでます。
なので1N(ニュートン)は、約100gとなっているわけです。
1kgだと、9.8N(ニュートン)ということになります。
これを踏まえて今度は、単位面積あたりに働く力、圧力としてPa(パスカル)がでてきます。
1Pa(パスカル)とは、1m2の面積に1N(ニュートン)の力が作用しているということになります。
そして、h(ヘクト)とは100倍のことを指すので、1Pa(パスカル)の100倍、100paが1hpa(ヘクトパスカル)ということになります。
これを920hpaに当てはめると、92,000paということですね。
それだけでは、決定しませんがhpaが低い方が台風が強くなりやすいです。
台風は『風の強さ』で、単純な物理の法則で水も空気も高い方から低い方へ流れ、
その高低差があればある程、速く流れます。
だから気圧が低くなればなる程、強い台風になる確率が高いわけです。
その点では、hpaの数値と合わせ「変化」も見ておいたほうがいいでしょう。
それをはめると、この 台風10号は9月4日午前9時時点・24時間で45ヘクトパスカルも低くなりました。※4,500pa(パスカル)!
そして、最大瞬間風速予測が70m /s!!という、飛び抜けた規模です。
これは時速に換算すると252km!
※風速を時速に換算するのも簡単なので紹介しておきます。
風速を時速に換算するには
この時速252kmで考えると、いかに強く怖い台風であるのかがわかるはずです。
※上越新幹線の速度とほぼ同じです。
大宮から上越新幹線の屋根に掴まり、新潟へ向かっていると想像してみてください。
普通に死にます・・
なので、これだけ注意喚起されているということです。
それでは一番重要な台風に対しては、気象庁HP 『自分で行う災害への備え』 を引用転載させていただきます。
重要!!台風への備え!
自分で行う災害への備え
台風や大雨は、毎年大きな災害をもたらします。警報などの防災気象情報を利用して、被害を未然に防いだり、軽減することが可能です。テレビやラジオなどの気象情報に十分注意してください。台風や大雨の危険が近づいているというニュースや気象情報を見たり聞いたりしたら、災害への備えをもう一度確認しましょう。
家の外の備え
大雨が降る前、風が強くなる前に行いましょう。
・窓や雨戸はしっかりとカギをかけ、必要に応じて補強する。
・側溝や排水口は掃除して水はけを良くしておく。
・風で飛ばされそうな物は飛ばないよう固定したり、家の中へ格納する。家の中の備え
・非常用品の確認
懐中電灯、携帯用ラジオ(乾電池)、救急薬品、衣類、非常用食品、携帯ボンベ式コンロ、貴重品など
・室内からの安全対策
飛散防止フィルムなどを窓ガラスに貼ったり、万一の飛来物の飛び込みに備えてカーテンやブラインドをおろしておく。
・水の確保
断水に備えて飲料水を確保するほか、浴槽に水を張るなどして生活用水を確保する。避難場所の確認など
・学校や公民館など、避難場所として指定されている場所への避難経路を確認しておく。
・普段から家族で避難場所や連絡方法などを話し合っておく。
・避難するときは、持ち物を最小限にして、両手が使えるようにしておく。非常持ち出し品を用意しましょう。
以下は非常持ち出し品の一例です。
・リュックサック
・飲料水、乾パンやクラッカーなど、レトルト食品、缶詰、粉ミルク、哺乳ビンなど
・救急医薬品、常備薬、マスク、紙おむつ、生理用品
・現金(小銭も)、預金通帳など、印鑑、健康保険証など、身分証明書
・下着、タオル、寝袋、雨具、軍手、靴
・ナイフ、缶切、鍋や水筒、懐中電灯、ラジオ、電池、ロープ、マッチやライター、使い捨てのカイロ、ティッシュなど、筆記用具、ごみ袋
・防災頭巾やヘルメット、予備の眼鏡など、地図
これらをしっかりと準備し、今回は可能な限り、『先に』避難しておくことを念頭においてください。
いままでの規模とは桁違いです。
時速252km級の暴風が吹き荒れる中で、避難できるのか?と考えてください。
避難!というとこまで追い込まれてからでは、大変なことになります。
その前!に行動することです。